なぜ早気になるのでしょう。そしてなぜ早気になると的中も射形も整わないのでしょう。今回はそんな早気の主な原因を解説しました。なぜ早気になるのか気になる方も、なってしまって早く克服したい方も、この主な原因を知って弓道上達への足がかりとしましょう。
早気とはどういう状態か|正確な理解から始める
早気の対処法を考える前に、早気という状態を正確に理解する必要があります。私が28年間の稽古で見てきた早気は、大きく「まだ完全に引き切れていないのに離れてしまう」「引き切った瞬間に自動的に離れてしまう」の2パターンに分かれます。
弓道における「会」とは本来、左右に伸び続けている(左手なら的方向に押し続ける、右手なら引き続けるような感覚)間のことをいいます。よって会はあってもなくてもいいものと捉えてしまうと、会はあっても単に停滞時間となり、早気へのスパイラルに陥ってしまうのです。
早気になる5つの原因
原因1|左手の安定化
左手の安定化がなぜ早気の原因にと思われたかもしれません。左手の安定がされるのは射形が整ってきているという点では素晴らしいことです。素晴らしいことなのですが、実はここに落とし穴があります。左手が安定していると、少々の悪い離れではあまり的中が左右されません。そうすると的中にばかり関心がいってしまい、射形がおろそかになりやすいのです。そうして「次も中てて的中率の向上、中る楽しさにはまってしまいます」自分自身でも不思議と中ると分かっていて早く離れをしたくなります。この気持ちのはやりを制御できないと早気になります。これはさまざまなタイミングが、たまたまちょうど合っての結果です。
このたまたまちょうどのタイミングがそう続くわけもなく、早気で中らないスパイラルに陥ってしまうのです。
原因2|的中がある、もしくは的中率の向上
左手の安定化でもお話ししましたが、やはり中ると多かれ少なかれ嬉しく楽しく感じるものだと思います。早気の初期にはよく中る場合があります。そして「次も中ててやろう」と意気込んでくると、自分自身でも不思議と中ると分かっているので早く離れをしたくなります。この気持ちのはやりを制御できないと早気になります。これはさまざまなタイミングが、たまたちょうど合っての結果です。このたまたまちょうどのタイミングがそう続くわけもなく、早気で中らないスパイラルに陥ってしまうのです。
原因3|会の軽視
3大原因の最後としてあげたいのが、会の軽視です。これは、会=ただ離れをするまでの間、という誤った認識からくることだと思います。会とは本来左右に伸び続けている(左手なら的方向に押し続ける、右手なら引き続けるような感覚)間のことをいいます。よって会はあってもなくてもいいものと捉えてしまうと、会はあっても単に停滞時間となり、早気へのスパイラルに陥ってしまうのです。
原因4|審査・試合での緊張
段級審査や試合という特別な場面でのプレッシャーが早気を引き起こすケースも多くあります。日常の稽古では問題なく会を保てていた人が、審査の場でいきなり早気になることがあります。これは緊張によって交感神経が優位になり、身体が無意識に「早く終わらせたい」という反応を示すためです。
このタイプの早気は、射形や技術の問題というより心理的な問題です。日頃から審査・試合を想定した稽古(一手・三手でのプレッシャー練習)を取り入れることが有効な対策になります。
原因5|疲労・体調不良時の崩れ
身体的な疲れや体調不良の日に、普段より早気になるという経験をした方も多いのではないでしょうか。疲れているときは会を保つ筋持久力が低下し、意識せずとも早く離れてしまいやすくなります。こうした「疲労型早気」が習慣化すると、元気な日でも早気のパターンが定着してしまいます。体調管理も弓道上達に欠かせない要素です。
なぜ早気になると射形が崩れるのか
先ほど3大原因として「左手の安定化」「的中がある、もしくは的中率の向上」「会の軽視」と解説しました。ではなぜ早気になると射形が崩れるのか。ここではその理由を解説します。
早気の初期ではあるある意味雑な引き方でも的中があります。そうなって、中るからいいやと射形の見直し、改善を放棄します。放棄された射形は本来あるべき呼吸法や、伸びといったさまざまな要素が削られていきます。呼吸法が伴わなければ、至る箇所で不自然な力の入り方をします。伸びがなければ、力任せに弓を引くことになります。不自然な力が入り、力任せに弓を引く行為は、本来の弓道の呼吸法や目に見えない静動的な動きといったものをなくします。この状態を繰り返すことによって、早気になるとどんどん射形が崩れていくのです。
早気の予防策|的中した理由を考える
では早気を予防するための方法はないのでしょうか。実はあるんです。しかもそれは簡単な方法です。早気の予防法 的中した理由を考えるこれだけです。
少し拍子抜けしてしまったかもしれませんが、的中がある、もしくは的中率が上がると多くの場合自分自身の射形を見直さなくなります。部分的な「こうしたら中たる」といった程度の見直しはあります。でもその中る以外の見直しが雑になります。残心も雑になります。そういった状態は非常に勿体ないことです。
的中したらその的中した理由、もしくは的中が安定している理由を自分なりに考えておきましょう。ここでのポイントは、正確というより自分なりに考えるということです。この自分なりに考えるというクセをつけておくと、仮に早気になってしまったとしてもある程度自分自身のクセがわかっているので、早くに克服することができます。誰かのアドバイスをもらったら、それすらも自分なりの解釈を加えておけばいうことなしでしょう。
早気タイプ別の対処法まとめ
早気は原因によって対処法が異なります。自分がどのタイプの早気かを見極めることが克服の第一歩です。
- 的中依存型:「中ること」より「正しい会」に価値を置き直す意識転換が必要です。的中率を一時的に度外視して、会の感覚を取り戻す練習に専念しましょう。
- 会軽視型:会の定義を正確に理解し直すことが先決です。「左右に伸び続ける間」という感覚を、ゴム弓や徒手練習で体に染み込ませてください。
- 緊張型:審査や試合を模した緊張感のある稽古を増やします。道場以外の人前で射る機会を意識的に作ることも有効です。
- 疲労型:体調管理の徹底と、疲れているときほど会の長さを意識的に保つよう努力します。疲労時は本数を減らしてでも質を落とさないことが大切です。
以上3つにわけて早気の主な原因についての解説しました。原因を知っておけば対処が容易いです。それは早気も同じです。早気の主な原因を知っておいて、有事の際には対処できるようにしておきましょう。そうすることで、さらなる弓道を上達させるための練習に取り組むことができます。

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