弓道の正面打起しと斜面打起しの違い|自分に合う構えの選び方

弓道の正面打起しと斜面打起しの違い|自分に合う構えの選び方

弓道をはじめて間もないころ、道場の先輩から「あなたは正面向きの体格だから正面打起しがいい」と言われました。しかし当時の私には正面と斜面の違いが感覚としてまったくわかりませんでした。28年の稽古を積んだ今だからこそ、この問いに対して具体的に答えられます。

本記事では正面打起しと斜面打起しの本質的な違い、そして自分に合う構えの選び方を、実際の稽古経験を踏まえて解説します。

目次

1. 正面と斜面、それぞれの射型の特徴

弓道には2種類の射型があることはご存知かと思います。礼射系と武射系ですが、多くの場合「正面」「斜面」と呼ばれます。今回はその正面と斜面それぞれの構えについてと、正面の構えについての4つのポイントを解説します。

正面打起し(礼射系)の特徴

正面は「礼射系」と呼ばれる射型で、主に全体から見てのパワーバランスを重視しています。左右どちらか片方に力が偏るのではなく、均等に力をかけていきます。そして正面という異名の通り、弓構えと打起しが体の正面で行われます。手の内は大三を取る際に完成されます。

正面打起しの核心は「左右均等のパワーバランス」です。弓を正面に押し上げてから引き分けるため、打起しの形が左右の引き分けへの自然な導入になります。

斜面打起し(武射系)の特徴

斜面は「武射系」と呼ばれる射型で、主に武射としてならではの的中にこだわったパワーバランスをしています。左手にかける力が強いのです。もちろん左手だけに力をかけるわけではありませんが、正面より左手を重視しています。手の内は弓構え時に完成してしまい、あとはねじる力を最大限発揮するようになっているのが斜面の射型の特徴です。

斜面打起しは弓構え時に打起しの角度がすでについており、そこからの引き分けへのスムーズな導入になっています。大木を抱えるように、肘を少しはっていきましょう。

正面か斜面かは指導者によって異なる

正面か斜面かは指導者がいる場合、その指導者によるかと思います。どちらがよいということはなく、どちらも長い歴史と稽古の積み重ねによって磨かれた射型です。

2. 正面の構えのポイント4つ ― これだけはおさえておきたい

今回正面と斜面とあるうち、正面の構えについてこれだけはおさえておきたいというポイント4つを解説します。

ポイント1:顔が弦と弓の間にある

正面の構えでは文字通り体の正面で動作を行いますが、このとき気をつけたいのが顔の見える位置です。胴造りや弓構え時には、真正面から見て顔が弦と弓の間にきます。このとき体がねじれていてはいけません。真正面から見て、顔が弦と弓の間に来るように構えます。

  • 弓構えの段階で正面鏡があれば確認する
  • 顔が弦と弓のほぼ中央に来ているかをチェックする
  • 上体のねじれがないか全身で感じ取る

ポイント2:肘をはる

肘をはるのは大三で、というわけではありません。もちろん大三で肘をはります。しかし肘をはるのは大三だけではなく、弓構え時にも肘をはります。この胴造り、弓構え時の肘のはりは打起しから引き分けへのスムーズな導入になります。大木を抱えるように、肘を少しはっていきましょう。

ポイント3:手の内を作る際体を曲げない

手の内を作る際、正面の構えでは手元がよく見えません。そのためはじめて間もないころには、ついつい前方に上体を倒して手の内を確認しようとしてしまいます。そうすると足踏み、胴造りで整えていた姿勢が崩れてしまいます。手の内を作る際、気になるかとは思いますが上体は倒さないようにしましょう。

ポイント4:手の内で中指と薬指に力を入れない

正面の手の内では、虎口を巻き込み天文筋を当てたあとは、三本の指を握りにそろえるように当てます。このとき小指に力を入れると思いますが、勢い余って中指・薬指にも力が入ってしまうことがあります。中指と薬指に力が入ってしまうと、小指は遊んでしまい天文筋が浮いていても気が付かない手の内になります。三本の指中、力を入れるのは小指だけで他の指は力を入れないようにしましょう。

3. 斜面打起しのポイント ― 正面との比較で理解する

斜面の構えは手の内が弓構え時に完成する点が正面と大きく異なります。この完成した手の内から打起しに入るため、打起しの動作が始まる前段階ですでに射の質が決まっている側面があります。

弓構えと手の内の関係

斜面では弓構え時に手の内を完成させます。この段階で天文筋が弓の側木(がわき)に当たり、親指と人差し指の間の虎口が弓に密着した状態になります。正面では大三を取りながら手の内が作られますが、斜面ではこれが弓構えの段階で行われます。

左手優位のパワーバランス

斜面打起しは左手のねじる力(手の内のひねり)を最大限に発揮するように設計されています。打起しの段階から弓が的方向に向いているため、引き分けに入るとすぐに押しの力が的方向に向かいます。これが「武射として的中にこだわった射型」と言われる理由です。

4. 自分に合う構えの選び方

正面か斜面かを自分で選ぶ機会は、主に弓道を始める際と道場を移る際に生まれます。以下の観点から考えてみてください。

所属道場や指導者の方針を優先する

最も現実的な選択基準は、所属している道場の射型に合わせることです。道場に正面の指導者しかいない場合、斜面を選んでも十分な指導を受けられません。まずは所属道場の標準的な射型を学ぶことが上達の近道です。

体格と筋力から判断する目安

  • 正面打起しが合いやすい人:肩幅が広め、腕が長め、左右のバランスが取りやすい体型
  • 斜面打起しが合いやすい人:手首や前腕のひねり力が強め、左手のコントロールが得意な体型

ただしこれはあくまで傾向であり、体格だけで決まるものではありません。実際に両方を試してみる機会があれば、それが最善です。

どちらが「上」ということはない

正面打起しと斜面打起しはどちらが優れているということはありません。全日本弓道連盟の審査は両射型を対等に評価します。大切なのは選んだ射型を徹底的に磨くことです。

5. 打起しの高さ ― 共通する注意点

正面・斜面を問わず、打起しの高さは上達に直接影響します。

打起しが低すぎる場合

打起しが低いと、引き分けの初期から的方向に力が向かいにくくなります。弓を肩の高さ程度にしか上げられていない状態では、大三への移行が窮屈になり、会での伸び合いも制限されます。

打起しが高すぎる場合

逆に打起しが高すぎると、肩が上がり、腕の力で打ち起こしていることになります。打起しの理想的な高さは目の高さ(眼の高さの線)より少し上、概ね45度前後です。ただし射型や体格によって個人差があります。

6. まとめ:射型の選択より射型の完成度を

今回は正面の構えと斜面の構えについて解説し、正面の構えについて特長とポイントをおさえて解説しました。正面と斜面では左右でのパワーバランスが異なり、左右での均等な正面では、どちらかに偏りがないようにしていきましょう。そうするとキレイな射型になります。

  • 正面打起し:左右均等のパワーバランス、大三で手の内が完成
  • 斜面打起し:左手優位のパワーバランス、弓構えで手の内が完成
  • どちらが優れているということはない
  • 所属道場の射型を学ぶことが上達の近道

正射必中ともいうように、キレイな射型は的中ももたらします。正面の構えについて特長とポイントをおさえて、さらなる弓道上達をしてきましょう。

この記事を読んでいるあなたへ早気・緩み離れ・会の悩みを180日間で根本から解決する方法天皇杯覇者・教士八段の増渕敦人先生が監修した弓道上達プログラム。独学で試行錯誤するより、一流の指導者から学ぶ方が確実です。弓道上達革命の詳細を見る →→ 弓道上達革命の詳しいレビュー記事を読む※ 広告リンク|180日メールサポート付き監修: 増渕敦人(教士八段・天皇杯覇者)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次