弓道の握りが合わないときの対処法3選

弓道の握りが合わないときの対処法3選

弓道の稽古を続けているうちに、弓の握りが手に合わなくなってくる時期が訪れます。私も28年の稽古の中で、弓を変えるたび、あるいは引く力が変わるたびに握りの見直しを繰り返してきました。握りが合わないまま稽古を続けると手の内が決まらず、矢所が安定しないだけでなく、手を傷める原因にもなります。

本記事では弓道の握りが合わないときの対処法3選として、握りの形状の基本理解から自分の手に合わせた選び方・調整法まで、実践的な内容を解説します。

目次

1. そもそもの弓の握りの形状

自分に合った握りの選び方の前に、そもそもの握りの形状について解説します。

弓の握りは真四角ではなく、ゆるやかな台形をしています。握りで弦を張らない外側の部分を「外竹(そとだけ)」、弦を張る側の部分を「内竹(うちだけ)」といいます。弓を輪切りにしてみると、外竹が少し内竹より大きくなっているのがわかります。実際に割ってみるわけにはいきませんので、教本などで確認してみるといいでしょう。

天文筋と角見の位置関係

弓道の手の内は、外竹の右下角に天文筋が当たっていることが前提となります。そして手の内の完成時には、親指の付け根にある角見(かくみ)が内竹の左上角に来るようになります。この2点に天文筋や角見が来ていると、弓をより的方向へねじり押し伸ばす力が伝わりやすくなります。

また握りは握り皮の下に仕込まれた下じきによっても形状が変わります。弓具店などでは「握り用ゴム板」などとして販売されています。ゴム板のほかにも、葉書のような厚紙を用いたりするなどの方法があります。このような下じきを入れることによって、自分の握りやすい握りへと形を変えることができます。よくあるのがかまぼこ型、もともとの台形に少し厚みを加えた台形型です。どの形がいいのかは、自分の手の大きさや握力の強さによって決めるといいでしょう。

2. 自分の手にぴったりの握りの選び方

基本的に握りはゆるやかな台形で、あとの形状の変化は下じきで行うとさきほど述べました。ではそういった変形をする前に、自分の手にぴったり合う握りはどうやって選べばいいのか。ここでは手当たり次第に握りを握ってみる以外のやり方を解説します。この方法を知っておくと、インターネットなどで弓を購入する時の目安となります。知っておきたいのが次の2点です。

(1)親指の付け根部分(=角見)から天文筋までの距離

(1)を知っておくと、自分の手に合った握りの全長がわかります。

(2)天文筋から小指の第一関節までの距離

(2)を知っておくと、自分の手に合った握りの厚みがわかります。

この2つの距離を調べるときには、まず何も持っていない状態で手の内を作ります。宙で手の内を作ったその状態の(1)(2)の距離を調べます。なぜこの2つの距離が知っておきたい点なのか。

  • (1)を知っておくと、自分の手に合った握りの全長がわかります
  • (2)を知っておくと、自分の手に合った握りの厚みがわかります

この2点を知っておくことで、より手の内の作りやすい握りを選ぶことができるのです。自分に合わない握りで最も苦労するのは手の内です。最初から自分の手に合った握りをチョイスして、そういった苦労をしないようにしましょう。また、全長はぴったりでも厚みが合わない場合には、下じきを入れるなどして調整することも可能です。

3. 対処法1:握りの下じきによる厚み調整

すでに使用している弓の握りが厚みの面で合わない場合、下じきによる調整が最も手軽な対処法です。

下じきの種類と選び方

  • ゴム板:耐久性が高く、適度な弾力がある。握り用として市販されているものが使いやすい
  • 厚紙(葉書程度):微調整に向いている。複数枚を重ねることで厚みを変えられる
  • コルク板:柔らかく手に馴染みやすいが、耐久性はゴムより低い

下じきの入れ方

握り皮を一度剥がし、下じきを外竹側に貼り付けてから握り皮を巻き直します。厚みの調整は数ミリ単位でも手の内の感覚が変わるため、少しずつ試しながら自分の最適値を見つけます。

  • 一度に厚く入れすぎない(1〜2mm単位で調整する)
  • 入れた後に必ず素引きで感触を確認する
  • 的前に立つ前に変化に慣れる時間を取る

4. 対処法2:握り皮の交換

握り皮が古くなり硬化している場合、または素材が手に合わない場合は、握り皮の交換が有効です。

握り皮の素材と特徴

  • 鹿革:伝統的な素材。適度なグリップ感と柔軟性があり、手に馴染みやすい
  • 合成皮革:耐久性が高く、価格も手頃。ただし鹿革ほど馴染みにくい場合がある
  • ヤハズ皮:薄手で手の内の感触がつかみやすい

握り皮を巻く際の注意点

握り皮は均一な張力で巻くことが大切です。きつく巻きすぎると握りが細くなり、緩く巻くと途中でずれます。巻き始めと巻き終わりの処理を丁寧に行い、段差ができないようにします。

5. 対処法3:弓そのものの見直し

下じきや握り皮の調整でも改善しない場合、弓そのものが自分の手の大きさに合っていない可能性があります。

握りの全長が合っていない場合

握りの全長(天文筋から角見までの距離)が自分の手の寸法と大きく異なる場合、手の内の完成位置が正しくなりません。この場合は下じきでの調整には限界があるため、自分の手寸法に合った弓への変更を検討します。

弓具店での試し引き

弓を購入する際は必ず弓具店で実際に手に取り、可能であれば試し引きをすることをお勧めします。カタログやインターネットの数値だけでは感触はわかりません。先ほど述べた(1)(2)の自分の手の寸法を測っておき、それを店員に伝えることで適切な弓を選んでもらいやすくなります。

6. 握りが合ったかどうかの確認方法

調整後、握りが適切かどうかを確認するポイントをまとめます。

手の内作りやすさの確認

  • 天文筋が外竹の右下角に自然に当たるか
  • 角見(親指の付け根)が内竹の左上角に来るか
  • 小指が握りをしっかり抱えられるか

引き分けでの安定感の確認

  • 大三から会にかけて手の内が崩れないか
  • 弓返りが自然に起こるか
  • 離れ後に左手に余計な衝撃が来ないか

7. まとめ:本来の握りの形状を把握し、自分の手に合わせる

以上、握りの大きさと形についての把握の仕方、自分の手にぴったりの握りの選び方について解説しました。本来の握りの形状を把握し、自分の手に合った握りを選んだり作ったりするのは大切なことです。

  • 握りの形は台形が基本。下じきで形状を調整できる
  • 自分の手の(1)角見〜天文筋、(2)天文筋〜小指第一関節の2寸法を把握する
  • 厚み調整:下じきの挿入(1〜2mm単位で)
  • 素材調整:握り皮の交換
  • 根本解決:自分の手寸法に合った弓への変更

適切な弓具を使い、今後より弓道を上達させていきましょう。

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