弓道における矢こぼれのなおし方

弓道には、失という過ちがあります。その中で、自分が行射をしていて一番目につきやすく、気が滅入るのは、矢こぼれ(筈こぼれ)かと思います。

矢こぼれは、取懸の不正などを正して解消できることがほとんどです。そのなおし方のポイントをお伝えします。


1.取懸けの不正をなおす

矢こぼれは、弓道の競技では失となり、その矢の射なおしは認められません。つまり、一本は的中無しということになります。

弓道の競技は、大体四ツ矢一立で行われることが多く、四本のうちの一本が「無し」となってしまったら大変です。競技では限られた本数の矢の的中数を競うので、たった一本でも大切な一本です。

私は審査のときに矢こぼれをしてしまい、ショックのあまり、その後の体配もボロボロになってしまいました。

力むと矢こぼれしやすくなります。まずは、一番なおし方として基本的な、力みを取ることを念頭に置き、それでも矢こぼれが多い方は次のことを見直してみましょう。

まず、弓構えで肘が張れていますか。

肘が張れていると、取懸での矢こぼれが起こりにくくなります。また、ここで軽く手首を折らずにひねると、矢と弦がからむ、より外れにくくなります。

右手首が曲がっていませんか。

右手首を曲げたまま取懸けると、ひねる方向が不自然になり、その方向によっては懸けの帽子を押し込み、矢こぼれになります。矢こぼれが起きなくても射の運行上、力が入ったり、離れで弦に引っかかったりしてしまいます。




手の内を作るときに、右手が弦を引いてしまっていませんか。

引いてしまうと弦に矢が押し出され、矢こぼれになります。また、引分けで引き足りなくて、上達の妨げにもなりえます。


2.懸口十文字

弓道の行射中、右手を動かしたりすると、取懸の形が崩れ、矢こぼれが起きます。

弦を引こうとする動作につられ、右手につい力が入ってしまい、親指を曲げてしまうと、人差し指や中指もつられて動いてしまいます。なおし方としては、親指は、行射の間は常に、やや反らすくらいを意識すると動かずに済みます。

懸口十文字という考え方が弓道にはあります。これは、取懸けたときから引分けまでの適切な右手の形を言ったものです。

その主な心がけは、「右手首を曲げないこと」「人差し指には力を入れないこと」「矢の番える位置は懸け溝中心付近にすること」「番える矢の位置は握り中の約1センチ上部」とあります。

弦とかけ枕が終始十文字に保たれていると、大三で弦と親指が十字のままからみます。そのためには手首を折らないことが大切です。

この十字がズレると、矢は動いてしまいます。親指が下を向くと矢こぼれし、また、指の先の方で取懸けると弦をつまむようになるため、手首が折れ、矢こぼれします。

矢こぼれが多いと気が滅入ります。練習中であっても、矢こぼれし、番えて引分けまでいってもポトリと落ちると、弓道が嫌になってしまうほどです。

気持ちよく引くためにも、なおし方をしっかりと把握して、弓道の更なる上達を目指しましょう。







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