弓道における射癖の心的原因

弓道の射癖には、外見には表れない心的原因によるものがあります。スポーツに内面の癖がある、ということを疑問に思うかもしれませんが、弓道はメンタルコントロールが大切なスポーツですので、上達には内面と向き合うことが求められます。


1.中て気

地球上の様々な生物は、食べ物を得て生き残るために、自分のパートナーを勝ち取るために、また、外敵から我が子を守り子孫を残すために、戦い、競争してきました。

もちろん人間も同じです。人間もまた、様々な競争によって文明を発展させてきました。

ですので、他人と競争すること、勝ちたいと思うことは本能であり、ごく自然なことです。

弓道もスポーツとしての一面があります。的中を競う試合もあり、中てで成績が決まります。そのため、人よりも多く中てたい、と誰しもが思うことでしょう。

その気持ちは「中て気」と呼ばれ、弓道ではなおすべき射癖として扱われます。心的原因のうち、最もよくある射癖でもあります。

弓道は精神性の高い競技であり、競技に挑むときの立ち振る舞いに、品性や美意識を求めるものです。

中てようという意識は、射形の乱れにつながりますし、品がないものとされます。かといって、中りを最初から捨ててしまうのも品がありません。

自分の実力以上を出そうと背伸びするのではなく、実力相当に最善を尽くさねばなりません。




弓道は、正しく弓を引けば正しく中るものです。

正射の的中は、自分相手を問わず大いに尊重しましょう。それが、この射癖の心的原因を取りのぞくことにつながり、ひいては弓道の上達につながります。


2.気おくれ(自信喪失)

弓道は個人プレーで行う競技です。

練習も個人で行うことが多く、射に行き詰ると孤独感を覚えるかもしれません。試合や審査の練習の調子を気にしたり、心身の不調、これらのことを恐れたり、また、中りに不安を覚えたり、自分の射の結果を危ぶんだりします。

進歩のために己を省みることは大切ですが、度が過ぎると、気おくれという射癖につながります。

心的原因によるこの射癖は、日頃からの心掛け次第でうまく付き合っていくことができます。そのためには、不安を一つ一つ取りのぞいていく努力をしましょう。

一人では限界がありますが、共に弓道をする仲間がいればその分様々な意見が生まれ、自らを客観的に省みる機会も増え、不安を取りのぞきやすくなります。

弓道に限った話ではありませんが、学生は上達が早い傾向にあります。それは、年齢による吸収の早さや豊富な練習時間によるものもあると思いますが、それ以上に部活という練習空間のコミュニティがあるからだと私は考えます。

社会人になると、仕事の兼ね合いもあり、同じ時間を同じ人と共有することが難しくなりますので、多くの弓友を作ることをお勧めします。







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